遠隔操作ロボット

次元圧縮による把持動作の特徴量抽出と遠隔制御への応用

近年,災害現場を始めとする危険な環境において人の作業を代替するロボットが求められており,このような場合では,直感的な操作が可能であるマスタ・スレーブシステムが有用である.特に,多指ハンドを搭載したスレーブロボットは複雑な作業が可能となる. 一方,多指ハンドをマスタ・スレーブで操作する場合の問題として次の2つが挙げられる:(1) 操作者の手の 形状をリアルタイムで正確に計測することが困難であること,(2) 一般に人間の手と多指ハンドには運動学的な 構造の差異があるため,マスタ側で意図した動作をスレーブ側で適切に再現することが困難であること. これに対して本研究では,把持動作中の操作者の手の形状データを低次元特徴量に変換して,把持の本質的な特徴量を抽出することで解決を図る.具体的には,GPLVM を利用した次元圧縮,Gaussian Mixture Model(GMM) による関節角と圧縮データのマッピングの学習,Gaussian Mixture Regression(GMR) によるリアルタイムの関節角データの圧縮・復元に基づく遠隔操作手法を提案した.
  1. 吉岡秀真、並木明夫, 把持特徴量と把持動作分類を用いたマスタ・スレーブシステム, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2023(ROBOMECH2023), 1A1-F20, 2023
  2. 三枝 大希, 並木 明夫, 把持特徴量に基づいた動作分類と遠隔制御への利用, 日本機械学会年次大会2021
  3. 三枝 大希,並木 明夫, 次元圧縮による把持動作の特徴量抽出と遠隔制御への応用, SI2020(第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会), 3D1-08, 2020, 優秀講演賞
  4. 三枝 大希, 白土 拓哉, 並木 明夫, マスタ・スレーブのための次元圧縮を利用した把持動作補助システム, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2020(ROBOMECH2020), 2A2-I14, 2020
  5. Chuanyu GUO, Yang LIU, Ayaka MATSUZAKA, Takuya SHIRATO, Tetsuya Mouri, and Akio NAMIKI, Mapping Grasping Motion of Hand between Master and Slave in A Low-dimensional Latent Space, 2018 IEEE Conference on Robotics and Biomimetics, pp.1941-1946, 2018

ガウス過程回帰と軌道生成による人間の動作予測手法

  1. 中原 海渡, 並木 明夫, ガウス過程回帰を用いた人間の腕のオンライン動作予測, 第23回計測自動制御学会SI部門講演会(SI2022, 12/14-16, 幕張メッセ国際会議場), 3P3-E13
  2. 中原海渡, 並木明夫, ガウス過程回帰と軌道生成による人間の動作予測手法, 第22回計測自動制御学会SI部門講演会(SI2021), 3A4-11,12/14-16.

操作ロボットへのアシスト制御

近年,危険作業用において,人間が直接操作するマスタ・スレーブロボットの必要性が高まっている。通常のマスタ・スレーブでは通信と動作の遅れのために,作業速度の高速化は困難であったが,これに対して操作者の動きを予測するとともに,スレーブ側で操作制御と高速視覚フィードバック制御を統合することで作業の高速化を実現している.図はボールキャッチングを行っている例であり,通常では遅れのためにこのような高速動作は難しいが,動作予測と視覚フィードバック制御によりスムーズなキャッチングが実現できている。これは高速ビジョンにより人間よりも高速に環境認識することで,人間の動作を先回りしてアシストしているためである。
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  1. 並木明夫,劉陽,松坂彩香,白土拓哉,郭伝宇,毛利哲也,今井朝輝,松澤貴司,橋本健二,高西淳夫, アイトラッキングを用いたマスタ・スレーブシステムのアシスト制御, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2019(ROBOMECH2019), 2P1-D04, 2019
  2. A. Namiki, Y. Matsumoto, Y. Liu, T. Maruyama, Vision-Based Predictive Assist Control on Master-Slave Systems, IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation, pp.5357-5362, 2017

災害救助ロボットの遠隔操作

革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「タフ・ロボティクス・チャレンジ(TRC)」(プログラム・マネージャ:田所諭) にて,災害対応を目的とした脚ロボットのマニピュレーション用遠隔操作システムを開発した. 検証実験によって,ドリルの操作,バルブの開閉作業を行った.
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  1. Kenji Hashimoto, Takashi Matsuzawa, Xiao Sun, Tomofumi Fujiwara, Xixun Wang, Yasuaki Konishi, Noritaka Sato, Takahiro Endo, Fumitoshi Matsuno, Naoyuki Kubota, Yuichiro Toda, Naoyuki Takesue, Kazuyoshi Wada, Tetsuya Mouri, Haruhisa Kawasaki, Akio Namiki, Yang Liu, Atsuo Takanishi, Satoshi Tadokoro, WAREC-1?A Four-Limbed Robot with Advanced Locomotion and Manipulation, Disaster Robotics: Results from the ImPACT Tough Robotics Challenge, pp.327-397, Springer, 2019

遠隔操作用マスタシステムの開発

旭光電機株式会社との共同研究として,Flexible Sensor Tube(FST)を用いた遠隔操作用のマスタシステムを開発した. FSTは長さ50[mm]のリンクと関節で構成されたセンサであり,各関節には曲げ角度を検出する角度センサ(ポテンショメータ)が内蔵されており,任意の三次元位置・形状を計測することができる.開発システムでは,両手先の位置姿勢,指の曲げ角度,首の向きを計測し,UDPを用いて10[ms]ごとに脚ロボットのコントローラに送る.コントローラでは,逆運動学に基づいてロボットの関節角度に変換すると同時に操作者のためのアシスト制御の補正を加える.また,スレーブとなる脚ロボットのステレオカメラから得られる視覚情報がHMDを通して操作者に提示される.
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  1. 並木明夫, 高明遠, 松下左京, 伊藤直樹, 田中徹, 上田明寿, 村上慶典, 池田真也, 和田貴志, 舘 暲, Telexistence FSTによる高出力双腕ロボットの遠隔操作システムの開発, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2P1-P04, 2012