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ナノ流路形成

Keywords: Nano-channel formation, Crack formation, In-glass microfluidics, Glass processing

1. 研究背景

近年,化学分析やバイオテクノロジーの分野において,実験室の機能を小さなチップ上に集約するガラス微小流路デバイスが発展しています.その中でも,マイクロ流路よりもさらに微小なナノ流路を有する流体デバイスの展開が注目されています.現在,電子描画線や収束イオンビーム加工によってナノ流路が作製されていますが,高価な製造装置や厳密な環境制御を必要とし,ナノ流路作製後に封止工程が必要であるという課題があります.そこで,私たちは新たなガラス基板上へのナノ流路加工手法として,ダイヤモンド工具を用いたガラス内亀裂伸展現象 (SSP) を提案しています.これは,ガラス表面に工具を走査し,走査部に亀裂を加えると走査線に沿って亀裂が伸展していくという全く新しいナノ流路形成技術です.SSPによる亀裂は,ガラス内部に深さ方向のみのメディアンクラックが伸展する特徴があります.このメディアンクラックを用いてナノ流路デバイスを作製することを研究目的としています.

2. 実験方法

ガラス内亀裂伸展現象の工程の模式図を図1に示します.最初に,ダイヤモンド製工具でガラス表面を走査し,塑性変形領域を形成します (図1(a)).この際形成された塑性変形領域直下には,圧縮応力があり,その周りに引張応力が残留しています.この引張応力が亀裂開口の要因となります.この時点では,引張応力が小さいため,メディアンクラックは形成していません.そこで,初期亀裂を形成し,残留引張応力部で応力集中を起こすことでメディアンクラックが開口します(図1(b)).この現象が連続的に起こり,メディアンクラックは初期亀裂を始点としてスクライブ方向と逆方向に伸展します.実際のメディアンクラックの断面図を図2に示します.これらの画像からガラス内部に深さ方向のメディアンクラックのみが伸展していることがわかります.

実験概要
Fig.1 schematic illusration for Solid Ion Exchange
実験概要
Fig.2 schematic illusration for Silver Precipitation

3. 研究手法

・工具走査荷重とメディアンクラック形状の関係を走査型電子顕微鏡で観察し,作製可能な流路形状を明らかにします.
・工具走査を組み合わせたり,走査方向を変化させたりすることで,分岐や屈曲などといった複雑な流路の形成を目指します.
・流路内の流体を蛍光観察し,流路内部の流動特性を評価します.

4. 今後の展望

・SSPで作製したナノ流体デバイスを実用化する予定です.

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