ファイバーヒューズ
1. 研究背景
光通信の分野では,光ファイバを破壊する「ファイバヒューズ」と呼ばれるプラズマの伝搬現象が知られている.この現象は,高出力レーザ光により光ファイバのコア部のガラスが昇温し,プラズマ化することで発生する.
プラズマが通過した軌跡には,
(i) 熱分解によって生じた気相領域(ボイド),
(ii)急熱急冷により密度や屈折率が変化した改質領域が形成される.
本研究では,この現象をバルクガラス内部で再現する.ボイドおよび改質領域の形成を制御することで,微細加工への応用を試みるとともに,加工プロセスおよび現象の理解を目指している.
2. 実験方法
ガラス端面にレーザ光の吸収体として金属箔を配置し,高温領域形成のトリガーとする.ガラスを透過する波長の連続波レーザをガラス越しに金属箔へ照射すると,金属箔周囲のガラスが昇温し,熱分解および熱電離を経てプラズマや溶融ガラスを含む多相高温領域が形成される.さらに,プラズマによるレーザ光吸収や熱伝導により,高温領域の伝搬をレーザ走査方向へ制御する.また,出力やビーム強度分布などの照射条件を変化させることで,軌跡に残るボイドの形状や改質領域の特性を制御する.
3. 研究中のテーマ
応用寄り
・ガラスの熱分解を利用した高アスペクト比穴あけ技術
・ガラス改質部の残留応力を利用した亀裂誘導技術
・微細周期構造やナノ構造などの機能性構造の創出
学術寄り
・ガラス内部における気液流動メカニズムの解明
・数値解析による加工プロセスの定量的理解
4. 今後の展望
ガラス内部を直接加工する新しい微細加工技術の確立を通して,光デバイスやマイクロ流体デバイスなどへの応用を目指している.