超音速風洞を用いたBOS法による定量的密度計測

超音速風洞を用いたBOS法による定量的密度計測

高速で飛行している物体周りでは,マッハ0.8程度の遷音速領域から衝撃波が発生することがあり,それが機体との干渉を生じることで飛行を困難にするという問題があります.そのため,ロケットや飛行機などの飛行体周りの流れ場の可視化計測は,飛行体周りに発生する複雑な物理現象の解明において非常に重要となっています.しかし,これらの現象を実機による実験で解明することは非常に困難であるため,地上での風洞を用いた実験が有効となります.

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風洞内の流れ場を可視化する方法としてはシュリーレン法とBOS法が有効ですが,シュリーレン法が定性的計測であるのに対し, BOS法は定量的に計測することができます.そこで本研究室ではBOS(Background Oriented Schlieren)法を用いた超音速流れ場に設置した模型周りの流れの定量的密度計測を行っています.



シュリーレン法による超音速流れ場の定性的密度計測

太田研究室では, 管の下流側(タンク)を真空状態にすることで上流側から侵入する気体を超音速まで加速させる吸い込み式風洞を採用しています. しかし, 超音速流れ場の状態を目視で観察することは難しいため, “簡易的に流れ場を確認したい場合”に限りシュリーレン法を用います.

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シュリーレン法は視覚的に分かりやすく非常に使い勝手の良い手法ですが, 多くの光学装置が必要であり定量的に計測できないため, より詳しく解析するには他の計測法も組み合わせなくてはいけません.



マッハ数の調整および計測

マッハ数とは流体の流れの速さと音速との比で求まる無次元量のことです.マッハ数は管の断面積によって変化することが知られています. そこで, 当研究室ではノズルの厚さを変えることで管の断面積を変化させ, マッハ数を調整しています. マッハ数を変えることができれば, それだけ多くの状況を想定した実験を行えるのです.しかし, 実際には様々な外的要因が含まれるため, 必ずしも理論値通りのマッハ数が出るとは限りません. そこで, 管の中にピトー管を設置・計測することで電圧→気圧→マッハ数と求めることが可能となり, 装置の妥当性を検証することができます.